音楽の掘り方 第3弾!part1〜実践編〜

今回の実践編では電子音楽ミュージシャンで、京都精華大学の非常勤講師でもあるAOKI takamasa氏(以下AOKI)にインタビューを行った。
作曲家やDJとして活躍しているAOKI氏はどのようにして音楽を掘っているのだろうか。
まずはAOKI氏の音楽の聴き方などについて話を伺った。


AOKI_2013

(AOKI takamasa)

作曲家、編曲家、電子音楽ミュージシャン。他にも、自身の写真展を開くなど様々な芸術活動をしている。
2004年はパリ、2008年はベルリンに移住し、ヨーロッパを拠点に活動し世界各国でライブを行った。2011年に日本に帰国し、現在は大阪に拠点を置いている。ソロでの楽曲制作や国内外でのライブ活動の他、多数のアーティストへの楽曲提供、ミックスなどを行っている。(ウィキペディア参照)

http://www.aokitakamasa.com(AOKI takamasa公式サイト)


 

 

〈データとレコードは使い分ける〉

——幼少期からのAOKIさんの音楽についてお聞きしたいです。

AOKI:ちっちゃいときは洋楽を中心に聴いてたね。日本人でもいい人はいるけどね。小中学生くらいの頃に友達が聴いてた日本のポップスとかを聴き始めたんやけど馴染めなかったな。中学校くらいからバンドを始めたから、メンバーが聴いてる音楽とかをシェアしてもらえる様になった。それで、70年代ロックとかを聴き始めて、「ロックはちょっと自分には合ってないなあ」と思ったから、一般的に言われるエクスペリメンタル(実験音楽)とか、メロディや歌詞がないような抽象的な音楽に興味を持ち始めた。自分で曲を作り始めた大学くらいからは、テクノ(同サイトのクラブニュージックジャンルわけを参照)でもない実験音楽でもない、ちょっと不思議な音楽みたいなのを聴き始めたかな。自分がそういうものを作り始めたから、同じような系統の音楽を聴き始めた。それで今はもうテクノを聴くようになってきた。
やっぱり、テクノっていろんな音楽を吸収しながらどんどん進化していくジャンルやと僕は思ってるのね。流行り廃りがないというか、20年前の曲を聴いても新しくきこえるし、もちろん最新の曲をかけても新しいし、その一回のDJミックスの中で、年代が乱高下するというか…。そういう音楽ってあんまりないと思う。だから、そういう意味でもテクノは凄く魅力的やね。古くても良い音楽は時間を越えるから、古い曲が流れても「古いな〜」って思わへんね。今は時代を越えるような音楽に反応できるようになってきたかな。若い時は流行りとか、周りが良いって言ってるやつについつい流されちゃったけど。でもそういうのっていつの間にか聴かなくなったりするけど、テクノって20年前に買ったやつでも未だに聴くし、DJでも使うし。そういう意味で、テクノって時代性がないようでバッチリある両極端の音楽やと思う。

 

——AOKIさんの意見をお聞きしたいのですが、邦楽と洋楽の違いってなんだと思いますか?

AOKI:国が違うのはもちろんやけど、純粋な違いは言語が違うとか、音の「鳴り」が違うとか。やっぱり、日本は音楽をテレビで消費したり、スピーカーを家に持ってなかったりって人が多いからね。だから、スピーカーでじっくり音楽を聴くって言うよりは、流行りモノ…流しそうめんみたいな。どんどん流れてどんどん食べてみたいな、そういう音楽が多いと思うね。
日本の伝統の音楽って祭囃子やったり能の音楽やったりとか、明治以降に入ってきた西洋の音楽とはちょっと違うやんか。やっぱりその地域で自生してない音楽というか、誰かが持ってきた音楽って洋楽やと思う。昔は明確な違いはあったやろうけど、今は洋楽と邦楽をそんなに分けることはないと思う。戦後はどんどん混じって、90年代末くらいには洋楽も邦楽もほとんど違いはなくなったと思う。90年代以降、何故か日本が芸術的に閉じちゃったのよね。特に歌詞のある音楽は日本人のためだけに売る音楽になってきちゃった気がして。洋楽と思われるものに関しては、比較的日本のものよりも歴史が深く、志が高い気がする。でも、さっき言った雅楽とか宮廷音楽とかに関しては日本の歴史も凄く長いと思うけどね。最近は、ヨーロッパの音楽も日本の音楽に影響を受けてうまくパクり合ってる気がする。

 

——日本に居るときとヨーロッパに居るときでは、聴く音楽やってやっぱり変わるんですか?

AOKI:僕は掘る方じゃなくて作る方だったから、凄く狭い知識で自分の思い込みだけで作ってた部分もあったんやけど。ヨーロッパに行ったら、純粋にライブの数も増えたし、ライブの数が増えることで知り合うミュージシャンが増えるし、その人達から教えてもらう音楽の数も増えたかな。
テクノだったら、ヨーロッパで出回ってるレコードの半分くらいしか日本には入ってきてないと思う。だから、ヨーロッパに行ったら、日本では見たことないレコードがいっぱいあるし、もちろん知らんアーティストもいっぱいいるし、聴くものは変わってくると思うね。

 

——AOKIさんは作曲以外にDJもされていると思います。DJはパソコンを使ったりレコードやCD、データの音源を使ったりと様々な方法があると思いますが、Aokiさんはレコードを主に使うんですか?

AOKI:その会場のサウンドシステムにもよるけど、データとレコードと両方やね。例えば、Low(低い音)がきれいに出るはずのレコードを持って行っても、Lowが全然鳴らないスピーカーのクラブやったら残念やしね。行ったことない場所に関しては事前に、スピーカーのサイズとかどういう音響が入ってるかを聞いておく。で、「この辺の音域鳴りそうやな〜」と思ったらその音域のレコードを持っていったり。

 

——レコードバッグに絶対に入れてる一枚!がもしあれば教えてください。

AOKI:これだけは持っとく物っていっぱいあるしなあ(笑)最近はね、この、DenisKaznacheevって人がめちゃめちゃかっこええ。最近この人好きかな。でも、これが常に入ってるっていうのは無いかなあ、毎回違うかなあ。

 

——レコードはいつも日本のレコード屋さんで購入してるんですか?

AOKIテクニークっていう渋谷にあるレコードショップがあって、そこが日本ではテクノに強いかな。
でも、僕はCD全盛期の世代なんで今でもCD買うよ。やっぱりデータにはない喜びがあるなあと思う。スタジオワーク、マスタリングワーク、エンジニアさんにもお金がかかってるし、データで買える音楽とは比べ物にならへんくらい製作にお金がかけられてる。CDやレコードとして、実際に“物”としてリリースされる音楽は、データだけでリリースされる音楽と比べて重みがだいぶ違うと思う。関わってくる人間の数も違うし、それだけクオリティが高い物は比較的多い気がする。

 

——データよりCDやレコードの方が良いということでしょうか。

AOKI:いや、それは感受性の広さじゃないかな。でも、データの音の違いとレコードの音の違いがわかるようになったら、多分データなんて見向きもせえへんと思うわ。もちろん、データでもめっちゃ良い音鳴るやつもあるねんけどな。でもやっぱり、実際にレコードを回転させて自分で曲の頭出しして、レコードの重さがあって、針を置いてちょっとずつ回転合わすあの触る感じ?あれがやっぱり良い。レコードに刻まれたギザギザを針が拾って増幅させて音楽がバンバンなってるわけやんか。やっぱり「その場でならしてる感」ていうのは、大きい音で再生するほどその差が出てくると思うのね。そして良い環境で再生すればするほどね。だから正直、ひどいオーディオ環境でレコード再生したらレコードのレンジ(音量、音域の幅。)が広すぎて、全然音良くないの。その場合はデータの方が良い音がなるねんな。やから、そういう時はデータの方がいいと思う。
でも、本当に志の高いサウンドシステムで志の高いエンジニアがおって音楽をかける場合は、やっぱりレコードの方が良いよね。データだけのリリースよりは志の高いものがあると思う。同じDJとして、データだけ持って来てる人に「あ、なんか適当やなこの人って」思うときもあるし、「この人こんなちっちゃいイベントやのにレコード持ってきてる。音楽愛してんねんなー」って思うときもあるかな。
でもまだみんな19歳とかやろ?だから焦らず、いっぱい音楽聴いていっぱい感じたらええんちゃう?そしたら、データとレコードの音の差も感じるようになると思うし。でも、そうなるには良いサウンドシステムで聴くっていう経験が絶対に必要になってくると思うから。だから、良いサウンドシステムのクラブに行くとか、良いサウンドシステムのパーティーに行くとかね。行って実際に体で経験するのが重要やと思う。

 

 

音楽の掘り方 第3弾part2〜実践編〜につづく!!!

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