音楽の掘り方 第3弾!part3〜実践編〜

音楽の掘り方のインタビューシリーズも今回のAOKI takamasa氏のインタビューで締めくくりとなる。
前回の記事の「音楽を売るプロの人、作るプロの人、それぞれに好きな音楽を教えてもらう」という言葉はとても印象的だったと執筆者は感じた。やみくもに音楽を教えてもらうのではなく、聞く人を少し意識するだけで新しい音楽を知ることができる、ということは目からウロコであった!
作り手が身近にいないという人は、楽器経験者と楽器未経験者、ギタリストとボーカリストなどといった人にオススメを聞いても面白いかもしれない。

さて、3回目となるAOKI takamasa氏のインタビューでは音楽の聴き方について具体的に質問してみた。
「本物」とは何なのか、よく耳にする「常に謙虚であれ」という言葉の意味は何なのか、といった哲学的な発想から音楽を読み解いていく。

 

 

〈YouTubeは『探すための』便利なツール〉

——若者の音楽の聴き方についてどう思われますか?

AOKI:なんせ、どのジャンルの音楽にしても、耳だけで聴くもんじゃないと思うねん。でも日本は、耳で聴くイヤホンで聴くっていうのがもう当たり前になってきちゃってるやんか。僕も京都精華大学の学生に教えてるけど、スピーカーが家にない子っていっぱいおるもん。「音楽やってるのに家にスピーカーないの!?」って感じで正直、衝撃やったね。

 

——だいたいの人ってiPhoneとかの付属のイヤホンで音楽を聴いてますからね。

AOKI:なあ。ちょっとショック。広いレンジの音楽を狭いレンジのもので聴かなあかんから、なんか旨み成分全部取った料理出されてるみたいな感じがする(笑)旨み全部捨てましたみたいな(笑)本物のラーメン目の前にして「カップラーメンイエイ!」って食べてるようなもんやと思うねん。何時間もかけて出汁とって麺作ってもう豚まで殺した本物のラーメンがあんのに(笑)そんなおいしいやつの横で「カップラーメンイエイ」って食べてるようなんがポップスで、MP3で、イヤホンで聴いて、って感じがする。でも、一番耳が成長する中高大学生あたりに、カップ麺ばっかり食べてたら、良い素材でとった出汁、おいしい水でとった出汁の旨みってわからへんと思うねん。だから、小さい時から本物知ってるって重要やと思う。
 教育でほんまに重要なんってな、偽物見せなくていいねん。ひたすら本物ばっかり見せ続けてたら偽物きた瞬間に「なんやこれ!なんかちょっとちゃう」ってわかんねんやんか。でも日本の教育って偽物ばっかり知らされてるから本物きてもわからへんねん。それが残念ながら日本の教育やから。でもそれに気づけれたらいつでも変えれる。「カップラーメンいらん!」ってなるとき来るから。

 

——逆に、今カップラーメンを食べてる現代っ子が本当においしいものを知った時は飛びつくでしょうね。

AOKI:ほんまにそうなってほしいね。そうなってほしいなって思って授業やってんねんけどね、なかなか難しいね(笑)

 

——自分の曲をそんな風に聴かれていたら作り手としても悲しいですよね。

AOKI:そう。僕一回東京に仕事で行ってカフェでお茶してたら、近所のレンタルCD屋さん帰りの男の子二人組がバーって入ってきて、ノートパソコン開けて僕のCDバーンって流して。ノートパソコンで流しても、低音も何も鳴らへん、シャカシャカパキパキってなってて。それで「あかん」って言われて、「そりゃそうやろ笑」って(笑)そらそんなんで聴いたらあかんわって思ったけどその二人によう言わんかって。正直すごいショックやった。「そんなことある~?」って(笑)「こいつあかんわ名前だけで」って言われてめっちゃショックやった。でもまあ、その程度の認識で音楽聴く人に嫌われるんやったらまあええかなって。

 

——音楽をたくさん聴くことだけを考えるのではなく、聴く時もこだわり抜けということですね。環境も大事、という。

AOKI:作り手の思いとしては、やっぱり良い環境で聴いてほしい。良いスピーカー良いサウンドシステムで聴いてほしいって思って作ってる。自分が作ってる音楽をラップトップ(持ち運べるサイズの)のスピカーで再生されて「あかんわ」って言われるの残念やし。

 

——新しい音楽を手に入れて初めて聴く時に、こだわりなどはありますか?どういう心意気で聴いたりするんですか?

AOKI:まあ、先入観なしで聴くことかな。自分の記憶を参照したり記憶とか思い込みの色眼鏡をかけたりせえへんようにする。今この瞬間にあるというか。
 よう笑われんねんけど、いつも心掛けてることがあって。「今日初めて地球に来た」って思うようにするねん。そしたら全部、すげえって思うねんな。水とか見ても「なにこれ。すげえなにこれ」とか思ってしまうねんけど。でも、毎朝そんな風に起きるようにはしてるし、その思いで音楽も聴くようにしてる。それが結構自分の中では、常に新鮮さを維持する一つの方法かもしれへん。ほんまに、「地球に初めてきました」って思いで日々生きるだけで全然変わってくるんよ。聴く音楽、音楽に対する感覚も、食べるものも。一歩踏み出す、その一歩も変わってくるからね。

 

——音楽だけの聴き方を考えるんじゃなくて、すべてのものの感覚を研ぎ澄ませていくと自ずと意識が変わってくる、と。

AOKI:基本は分けない、カテゴライズしないことやね。全部同じものとして受け入れるようにするといいんちゃうかな。それが20年前のものであっても今のものであっても関係なく聴けるっていうのが重要なんちゃうかな。

 

——食わず嫌いにならないように先入観をなくすということですね。

AOKI:何も知らんかったら何もできへんからね。めちゃくちゃしかできへんから。やっぱり、この宇宙って両極端のものがバランスとって存在してるのよ。プラスマイナス・暑い寒い・高い低い・怖い怖くない・ひどいひどくない。光が当たったら影ができるように、全部に良い部分と悪い部分があると僕は思ってる。だから、どうやって良い部分だけ引き出してバランスよくしていくか。
 でもやっぱ知ってないとわからへん体感しないとわからへんことはいっぱいあるから、それは常に覚えておいたほうがいいよ。知らないこと体感したことがないことに関してあまり嫌悪とか排除はしないほうがいいんじゃないかな。むしろそっち知ってる人に対して僕は結構「あ、それ知らないです!」って謙虚に思っとくようにしてる。
 だから、何も知らんこと体験した事ないこと、特に体験ね。情報じゃなくて、体験したことに対してはそれなりに一目おいとかなあかんなと思った。体験して、それが自分に合ってるか必要ないかどうかは言えるやんか。体験したことないのになんか言うのもどうかと思うし。体験したからこそできること、判断できることがあると思うから。
 だから常に謙虚であれ、初心を忘れたらあかんっていうのはそういうことなんちゃうかなって。それぞれの世界で頑張ってる人はおるし、その人らも死に物狂いでそこまでいってるわけやから、それなりにリスペクトしなあかんしね。だからそういう意味では、音楽もいろんなジャンルがあって、知った上で「嫌いや」っていうのもあるけど、それなりに尊敬はしてるよね。
音楽って集めるもんでもないと思うねんな。ついつい何万曲も持っちゃうけど全部聴けへんやん。僕は良いものは好きってだけ。良いものが欲しいし、良いものはいい状態で聴きたい。

 

——音楽じゃないところから音楽を攻めていく感じがとても面白いですね。

AOKI:やっぱり、音楽が自分のライフスタイルやからな。だからどうしても哲学的になるよね。ある意味本気で遊んでるから。遊びでやってるねんけど、遊びでやってない。なんて言ったらええんかな。やっぱ責任感やろうね。遊んでるけど、お金払ってきてくれる人たち、期待もってきてくれる人たちに責任感。がっかりしてほしくないし、そこは遊びじゃないよね。でも、人間が本領発揮できるのって遊んでる時やから。なんか背負ってる時よりも天真爛漫に遊んでる時の方が人間は本領発揮できるやんか。その状態とピリッとした状態をどうバランスよく常に維持できるかが重要なんちゃうかなって。今この瞬間だけに生きてるっていうのが維持できたらそれが発揮できるんちゃうかな。地球で生きるための一つのコツ(笑)
 音楽を選ぶ時にしても、聴く時、作る時にしてもそのメンタルってすごい重要なってくるんちゃうかな。なんの色メガネもね。なんの先入観もなくそれと接する、対峙する、フルに感じるとかね。それが結構いいんちゃうかなって思う。

 

——AOKIさんは人伝いに音楽を掘ってらっしゃるんですね。YouTubeなどは使わないんですか?

AOKI:YouTubeで音楽も探すけど、じっくりその音楽と向き合うときは買ったレコードを聴くね。YouTubeでパッと聴いてこれ良いなと思ったらすぐCDとかレコード買うもん。YouTubeは探すための便利なツール。

 

——最後に関係のない質問をさせていただきます。F1お好きなんですか?(笑)

AOKI:レーサーになりたいねん。自分で曲作ってレーシングシュミレーターで走ったりしてます(笑)

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