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水、渓谷、中津渓谷。


水は好きか?と聞かれたら、皆さんはどう答えるだろうか。

私は雨でも傘を差さないぐらいに水、特に綺麗な水が好きだ。

綺麗な水と言われた時、どこが頭に浮かぶだろうか?沖縄の海や北海道の流氷が浮かぶような海、川でも地元の川から様々な海や川があるだろう。精華大のある京都では鴨川や桂川等が有名だろう。

私は祖父母の家があるので高知県に馴染みが深い。高知の水はとても綺麗だ。海は太平洋に面し、遮るもののない水平線が広がり、よく土砂降りになる雨は四国の水瓶になりながら、豊かで美しい川を形成している。私はそんな高知県の、中津渓谷に行ってきた。


高知県には有名な河川が2本ある。

四万十川という名前に聞き覚えがある人は多いのではないだろうか?沈下橋という有名な石橋(洪水の時流されてしまうので、流されないようとてもシンプルに欄干等もつけずに作られた橋)がたくさんある清流で、高知県の河川としてよく名前が上がる川だ。最後の清流と呼ばれることもある。

その四万十川ともう一つ、仁淀川という川がある。国交省が行っている水質調査で何度も1位になっている清流で、仁淀ブルーという名前は近年どんどん知名度が上がっている(そして水が綺麗だからか、お茶もある。最近強く売り出し始めたがとても美味しい)

近場にある「茶農家の店あすなろ」で食べた茶大福とお茶、美味しい。

そんな仁淀川の上流の方に、仁淀川町という町があり、中津渓谷はその仁淀川町にある。

ただ”渓谷”と言われてその姿にピンとくる人も少ないのではないだろうか?私もピンとは来てなかった。

インターネットで調べると、渓谷というのは山に挟まれた川のこと。という風に出てくる。こう書かれるとなんとなく、高速道路から見えるような河川が想像できてくる。

そしてそんな渓谷の一つである中津渓谷は、JR高知駅からだと車で1時間半ほどと、少し時間がかかるところにある。田舎の細い道を、ダムや自然豊かな森を横目にいくと。川辺に白くゴツゴツとした岩が段々と増えていく、そこが中津渓谷だ。

中津渓谷は入り口から見所となっている滝(途中で道が分かれてまた別の滝もあるが、道が狭く急で怖い)まで結構距離がある。

整備された道も多いが、当然自然のものなので途中「これ、大丈夫なの?」と高所恐怖症なら渡れなさそうな橋や、滑ってしまいそうな道や岩を歩くことも多い(だから高齢者は注意する必要があるだろう)だがその白く荒々しい岩と、その白を輝かせるような美しい清流は一見の価値がある。

私が行った時はまだ紅葉には早かったが、仁淀ブルーと称される川は青く美しく澄んでおり、独特な淡い魅力を放っていた。

それを囲むように白くゴツゴツとした岩々が連なる姿は美しく、白と青といえば空を夢想してしまいそうだが、また別種の、だが同じように心地よく、どこか冷えた青と白の世界が広がっていた。

そしてそれを遠目から見ると、青と白だけでなく瑞々しい緑の植物が彩られ。また新しい光景を見せてくれる。

中津渓谷には所々に七福神の石像が立っているが、この光景を見ていると。どこか神性が宿っているように感じられる。入り口がちょっとしたトンネルのようになっているのも、その感覚に拍車をかけているのかもしれない。

そんな中津渓谷、今頃に緑が朱に変わっていくのではないだろうか。赤く輝く紅葉の時期の姿というのも見ものだろう。

異界に行ったような気にさせられてしまう中津渓谷、少し距離は遠いが。秋の行楽にもピッタリだろう。

ちなみに、中津渓谷のそばにコテージ兼銭湯があるので、泊まれる人は泊まりで、泊まれない人は銭湯だけでも浴びて帰ると気持ちいいかもしれない(着替えは必須だが)風呂上がりは高知の名産、アイスクリンを食べながら帰るのも乙だろう。

(文・写真 / 丸橋)

中津渓谷へのアクセス

車で :JR高知駅から国道33号線を経由。所要時間1時間15分程

電車で:JR高知駅から土讃線で佐川駅まで。バスで乗り継いで佐川駅から佐川・川渡線で名野川駅下車。所要時間1時間50分程

          

仁淀川町 公式HP

茶農家の店あすなろ

中津渓谷 ゆの森