【SUPER BEAVER ／アイラヴユー】愛を伝える言葉に、五文字以上はいらない

愛を伝える言葉に、五文字以上はいらない
SUPER BEAVER 「アイラヴユー」

　私には、美しい言葉の使い方を浴びた時にしか感じられない幸福がある。表現の豊かさに恍惚と浸るのが気持ちいいし、何度も何度も頭の中でその文字の響きをなぞって、まるで大切な1ページにドッグイヤーで印をつけるように心にしまっておくのも楽しい。

共感で繋がらせてくれる言葉も好きだし、自分の口では発するのを躊躇ってしまうような皮肉を大声で代弁してくれる言葉も大好きだ。普段そのように歌詞を味わっている私が、難しい言葉なんて1つもいらない。言葉におめかしをせず、まっすぐに気持ちを言語化できることの美徳に圧倒されるのがSUPER BEAVERの音楽である。今回はその中から究極のラブソング「アイラヴユー」に私もあなたも、全身で愛されてほしい。

　何より印象的なサビの「アイラヴユーが歌いたい愛してる愛してる」というフレーズ。ライブでは会場全体を巻き込んで、みんなが一斉に高らかに愛を叫ぶ。目の前のあなたへ、それぞれの想い人へ、あるいは隣で一緒に歌う友人へかもしれないし、家族、この時間、この世界のどこへでも愛の矢印を向けていいのだ。ラブソングと言うと一般的には恋愛目線で描かれることが多いが、SUPER BEAVERはもっと壮大な対象にまで届くように、そして何かを愛おしく愛する気持ちはどれも等しく素晴らしいものだと、この誤魔化しようがないストレートな言葉で訴えかけてくれる。そしてここまでシンプルな、たった五文字の「愛してる」の言葉で人々の心を揺らし救いあげられるのは、他の誰でもない15年の年月をかけて信頼を築きあげてきたSUPER BEAVERの言葉だからだ。

　この世界に生きる人々が平等に持つ能力は、人を愛し人に愛されることである。そしてまずは自分が自分を愛する必要がある。嬉しい時は「ありがとう」って笑って、悲しい時は涙を隠さなくてもいい。素直な言葉で人が自分に素直に生きられることへの勇気を、私はこのバンドから与えてもらっている。