コラム

【星野源 / 喜劇】PYONGメンバーが選ぶ2022年思い出の一曲 共同レビュー①

ボーカル担当の松本です。
私はいつもボカロやカバー曲、アニメやゲーム、映画のサウンドトラックを聞きつつヒットチャートを漁っているのですが、今年歌い方や曲のイメージが特に気に入ったのは星野源の『喜劇』です。TVアニメ『SPY×FAMILY』のテンディングのために「家族」をテーマに書き下ろされた楽曲で、MVは曲の優しくもしっとりとした印象をより感じ取りやすいデザインになっています。私の今年を彩ったお気に入りの楽曲を、PYONGの他メンバーたちにもレビューしてもらいました。

【ボーカル/松本】
先ほどMVに触れましたが、それだけでなくこの曲は歌い方の表現方法が光った曲でもあります。チェストボイスから始まり、ファルセットとミックスボイスを使い分けながら心情やシーンを表現していて、一曲聴き終わった段階で多くのバリエーションを味わえると思います。Vocal ep.2で歌い回しについて触れましたが、私はこの曲の星野源ならではの声使いと歌い回しに惹かれる一曲です。家族がテーマの曲だと温かみのあるチェストボイスで歌われることで、安定していていつでも受け入れてもらえるような場所を表現する曲も多いです。そんな中、この曲は秘密や嘘もあるし互いに寂しさを感じる日もあるけれど、それでも互いを想いあう関係でいる涼しくも心地よい家族の形を表していると思っています。それをファルセットやミックスボイスで曖昧ながらも繊細に表現された楽曲は、ひとり暮らしの私にはなんだか沁みます。

【コラム / 前川】
家族をテーマに書き下ろされた曲なのに「生まれ落ちた日から よそ者」という言葉が、冒頭でサラリと歌われてしまうところが良い。家族と聞いて思い抱くイメージはきっと人それぞれで、家族という繋がりは良くも悪くも自分を縛りつけることもある。流れる血が同じだろうと、相手が自分自身とは違う存在なことに変わりはないし、強い気持ちだけで1人分の人生を誰かと分け合って歩んでいってもいい。この楽曲の中では具体的な人数や家族の構成が分かるような表現は1つもない。TVアニメ『SPY×FAMILY』も特殊な家族の形を描いているが、家族とは「この人と一緒にいたい」と、よそ者とよそ者が繋がる口実のようなものなのかなと、ゆらりと穏やかに流れる音楽の中で考えが膨らんだ。

【ギター/山口】
聴いた最初の印象は穏やかな温かな気持ちになるなというものでした。目を閉じてあくびをしながら聞きたい1曲です。この曲を聞いていると、どこか心地よく夢の世界へ誘われそうになります。聞いていて最も心地よいのはこのゆったりとしたテンポ感なのではないでしょうか。家族がテーマと言われると、家族を連想して聞いてしまいます。それは誰もがそうでしょう。私は家族が大好きです。日々家族のありがたみを痛感します。人に優しく、争いのない世界になってほしいなと思いました。言葉にできない色とりどりな感情が芽生える曲のように感じました。Official Videoのポップで優しい日常感、そして、謎のゆるキャラがかわいいです。

【ドラム/前田】
ドラムの音の系統、個人的には好きです。ジャズっぽい、オシャレな感じで。
ドラムアレンジをするとなれば「この電子音どう再現しようかな、あのシンバル使いたいな」と、楽しみながら聴けます。
打楽器目線としては、ヴィブラフォンの音が良い!こうやって改めて聴かなければ気付かなかったです。吹奏楽アレンジでも打楽器楽しそうですね。普段使う機会の無い小物を活躍させられるかも(でもテンポキープ難しそう…シンプルな分かなり上級者向けな気が…)。
MVに関しては、家族を「見た目もそれぞれ違う未知の生き物が食卓を囲む」ということで上手く表現していて感心しました。

【ベース/豊田】
Hip-hop調なリズムに乗る、少し早口な言葉のリズムが絶妙にマッチングしている印象を受けます、が何より気になるのはリズム隊のリズムですかね。ドラムとベースが一定の少ない動きだけで終わっています。ですが、飽きや退屈感は全然感じません。むしろメロディや他の音のおかげでオシャレになっています。ドラムとベースだけでも十分にオシャレですが。ベースは細かい動きのフレーズをひたすら繰り返すという感じですがこれが結構難しいです。ですが、弾いてみたいフレーズではあります。ミニマルなリズムの上で踊るように動くメロディー、様々な音色の増減が見事に重なった素晴らしい楽曲だと言えます。

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