ドラム担当の前田です。
普段バンドらしい曲を聴かない私による「通学プレイリスト2022」の中で『ぼっち・ざ・ろっく！』（2022）の曲が唯一バンドらしい曲でした。このアニメはぜひ楽器初心者や、バンドに憧れている人に見てほしい作品です。
暗めのキャラが作った尖った曲を、明るいキャラが歌っているのも面白い。
劇中の『あのバンド』は主人公がギターソロ（アドリブ）でメンバーを引っ張るところから始まっているのですが…シンプルに「ギターかっこいい〜！いいな〜！」と思えます（ドラムじゃないんかい）。
そんな気にさせる人気アニメの曲をPYONGの他メンバーたちにもレビューしてもらいました。
【ドラム/前田】
アニメでは、ライブ特有のピンチからの軌道修正が描かれています。
この曲はドラムがテンポキープできていないと、最初で大コケして、そのまま持ち直せないまま“終わる”可能性が高い曲でもあります。だからこそ、突然のアドリブギターソロに対応して（メンバーとアイコンタクトをして）良いタイミングで曲に入るという判断力と落ち着きは素晴らしいと思います。
残念ながら、このドラムは初心者向けでは無いと思っています。序盤だけでなく、全体的に大コケチャンスがありすぎる！サビ前にあるスネアドラムの連打（16分音符）なんかは、基礎練の成果が顕著にあらわれる部分です。手首が十分に柔らかくない・メトロノーム練習をしていないと…まぁかっこ悪くなります。リズムパターンの遷移は相当練習しないと難しいでしょうね。
それでもやっぱり演奏できたら楽しいだろうな！ドラムは余裕があれば後ろから他のメンバー観察し放題ですから！「みんなかっこいいな〜」と思いながら叩くドラムも良いですよ。
【ボーカル/松本】
長谷川育美の歌声は芯のある真っ直ぐな歌声で、劇中歌なこともあり歌詞も重要視される曲ですが、その中でも光る声です。伴奏は激しく迫力のある印象が強いですが、声は透明感と優しさを含みつつ言葉をそのまま通すような印象です。それらが組み合わさることで曲全体の主張の強さや感情の起伏、情熱を聴き手にストレートに伝えています。
また、この曲はロングトーン（長く伸ばして歌うこと）が多用されているので肺活量も重要になると思います。歌詞をはっきりとした発音で歌っているのも特徴です。リップロールや滑舌トレーニングもこの曲を歌うには大切であるといえます。声優がキャラになりきって歌っているからこその滑舌や歌い方が、この曲の疾走感と絶妙にマッチした楽曲だと思います。
【ギター/山口】
なんというか各パート全部がおいしいですね。個人的にどストライクというか自分がバンドするならこういう曲がしたいが詰まっているような。ギターはリフいカッティング、ハンマリング、プリングを使った音が飛び飛びになるようなフレーズ、ある種、ギターだけの世界に入り込むギリギリのラインを攻めるような。そして、ドラムは4つ打ちの裏拍を基本とし、ベースはコードのルートを弾き続けるよりはアグレッシブに動きのあるベースを弾いてほしいという本当に自分の中のバンドはこうあってほしいの最適解でした。ありがとうございます。
【コラム /前川】
歌の中にネガティブな感情を吐き出す時、あまりに直接的な表現を用いると、歌い手の独りよがりになってしまう感じがするし（それが魅力の1つでもある）でも普段口にすることを躊躇ってしまう言葉を惜しみなく吐き出せるのが音楽の良さでもある。その丁度よい塩梅の言葉選びをしている曲だなと思った。あのバンドの歌が踏切の音みたいと表現した後に続く「背中を押すなよ もうそこに列車が来る」の流れの緊張感には痺れるし、1番サビ終わりで「ほかに何も聴きたくない わたしが放つ音以外」とまっすぐな本音を発しているのも良い。「後光」と「鼓動」や「称号」と「衝動」など韻を踏んだり、リズム感を作り出している箇所も多く、全体的にヒリヒリとする感じで決して前向きな楽曲じゃないけど、走り出したくなるような、自分を突き動かすようなエネルギーを感じた。
【ベース/豊田】
イントロのベースにビビりました。細かく早い動きはリズムキープするのが大変です。それを数フレーズ繰り返すとか中々鬼畜です。この曲はアニメの劇中歌でそのアニメに出てくる女子高生が作った設定らしいですが、「女子高生が作るベースラインではないな」と思いました。この曲のベースラインは結構主張が強く、縁の下で支えるというよりこの曲のメインのひとつになっている印象を受けます。Aメロのドラムに合わせた跳ねたリズムのや2番頭のボーカルとリズム隊だけになる所、極め付けは2番サビ終わりです。ここだけベースがメロディっぽくなるのが本当にカッコイイです。ですが、特徴的なベースラインが多く自分からしたら結構ベース泣かせな楽曲です。
