コラム

【Ado / 私は最強】PYONGメンバーが選ぶ2022年思い出の一曲 共同レビュー④

どうも、ベース担当の豊田です。
自分は今年「ONEPIECE」にハマりました。特に映画「ONEPIECE FILM RED」は凄かったです。「ONEPIECE」の劇場版は全て見てきましたが、この映画は「ONEPIECE」映画でトップ3くらいには入る面白さだったと思います。その中でも劇中歌の「私は最強」はとても強く耳に残っています。自分の今年の中で1番勢い強く体の中に根付いた楽曲を、PYONGの他メンバーたちにもレビューしてもらいました。

【ベース/豊田】
この曲は上記に記述した通り、映画の劇中歌として流れました。映画の主要キャラがどれだけ強いかを見せる初戦闘シーンで流れた時は凄く興奮したのを憶えています。疾走感といい曲の世界観といいそのキャラの最強度を底上げしていました。映画を見終わった後に歌詞と映画がリンクしていると知った時は鳥肌ものでした。ベースの観点から聴くと少々トリッキーなベースラインだと思います。イントロ、Aメロは細く刻むようなリズムに対しBメロからサビがルート弾きに変化します。さらにはサビの最初と途中で弾くスピードが変わります。というか、サビ以外でも結構変わります。曲のテンポは変わらないのでスピードを変える時にテンポがずれないように自分で弾くときは注意が必要です。

【ボーカル/松本】
Adoといえば地声の力強さと裏声やミックスボイスを駆使した音域の広さが特徴的な歌手です。この曲は1曲の中で音程の落差が激しく、何度も乱高下を繰り返すため、正確に歌いこなすには高い技術が必要になります。また、歌い回しも特徴的です。力強く歌い回すパートと可愛らしさや切なさを感じさせるパートで歌声の出し方やビブラート(音が波打つように震えて聞こえる歌い方)の使い方が表現に幅を出しています。アクセントの付け方も歌詞やシーンごとの心情変化に合わせて差をつけることで深みも生まれていると思います。楽曲ごとだけでなく、1曲の中のパートやシーンごとの心情変化を豊かに表現し、情景を聴き手に想像させる繊細かつ芯のあるAdoの歌声だからこそ感じ取れる景色が、この曲にはあるのではないでしょうか。

【ギター/山口】
なんというか聴いて本当に圧倒されました。映画も見に行き、街なかの様々な場所でも耳にしてきましたが、ヘッドホンにて集中し聴くと本当にどこか別の世界に飛んでいったかのような感覚になります。胸がワクワクと掻き立てられる感覚は久しぶりです。全体のどこを切り取ってもおいしいというかジューシーというか、最初から最後まで全力のメインディッシュを出されているかのような高カロリーすぎる1曲でした。更には1回でお腹がいっぱいなのに更にもう一度聞きたくなるというエナジー性。こうやって人は正月太りをしてしまうのでしょうか。とにかく言葉はいらない。ただにこやかに聴くだけで皆ハッピーなのです。

【コラム / 前川】
まず何より「私は最強」という堂々たるタイトルの存在感がいい。音楽を再生する前から、もうすでにプラスのエネルギーに引っ張られる感覚がある。その力強い言葉と高らかに歌い上げる歌声の相性は抜群で、ただ強がりで言っている言葉ではなく、主人公ウタの自信と正義感の表れであることが分かる。聴き手をしっかりと映画の世界観に没入させながら、でもどこか内省的で自分自身の本音に耳を傾けるような歌詞は、楽曲提供をしたMrs. GREEN APPLE 大森元貴の音楽らしさだなと思う。映画の中で流れればウタのキャラクターを象徴するような聴こえ方がして、私生活の中で聴けば前向きなパワーとして寄り添ってくれる。楽曲提供をその目的だけで留まらせない、長く愛される名曲になるだろうなと思った。

【ドラム/前田】
映画観に行きました!が、『私は最強』はウタの楽曲の中でも1番聴いていない曲でして……良い機会でした。映画館で初めて聞いたとき音が割れていて(そう感じて)、ハズレのシアターだったか?と思っていたのですが、改めて聴いて、これってそういう音の曲なんだ!と気付きを得ました。ザラザラしたオープンハイハットや緩いスネアドラムが印象に強く残ります。こういったチューニングの違いは好みが分かれる点でもありますね。
私の友人は、映画を観ていないのにこの曲の歌詞だけを見て本編内容を全て当ててしまいました。それほど歌詞にストーリーや工夫(同音異義語など)が込められていて、解釈が楽しめるのだなと思いました。

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