コラム

【大塚愛 / さくらんぼ】いつだって、ここが甘さ最高濃度

いつだって、ここが甘さ最高濃度
大塚愛 / さくらんぼ

 ここまで甘く、いじらしいほど恋や目の前の幸せに全力なハッピーソングが、これからの時代に生まれるのだろうか。私が小学生の時にはもうテレビの映像に合わせて一緒に歌っていた記憶があるし、中学生の時には地元駅の発車メロディに採用され、今でも毎日のように耳にする。高校生の時には、友達とカラオケで歌って踊って笑い合った姿がインスタグラムのアーカイブに残っている。思い返せば成長していくどのタイミングでも流れていたし、私と周りの人間を笑顔で繋げてくれる結び目のような存在としてあった。あなたの記憶を遡ってみても、さくらんぼが流れる時間の中には悲しさや苦しみの要素はなかったのではないかと思う。

 日本語オタクになった今の私が改めて聴くと、ただの盲目ラブリーソングではないことの凄さが分かる。タイトルであり、この楽曲の象徴である「さくらんぼ」をあらゆる活用で曲中に散らばらせる巧みさ。まず大前提として、実が2つで1つであるさくらんぼを、あなたと私の揺るぎないペアに見立てる発想がたまらなく可愛い。「隣どおし あなたと」「君とつながってたい」言葉だけを抜き取ると普遍的な愛情表現に聞こえるのに、さくらんぼを応用した表現だと分かればギュッと甘味の濃度が増していく。

 歌詞に用いる言葉の選び方もポップで、でもちゃんと意味があって楽しい。ひらがな、漢字、カタカナ………与える文字の印象は大きく左右されるものだから、「ヒドイコト」が「酷い事」だったり「笑顔咲ク」が「笑顔咲く」だったら今あるお茶目さは表せなかっただろう。音に当てはめるために省略する必要があったとしても「つながってたい」「抱き合ってたい」でイ抜き言葉を使っているところが良き抜け感になっているのも絶妙である。

 まだ子供だからとか、もう大人だからとか音楽に適性年齢も賞味期限もないということを、この楽曲を通して今改めて感じる。私が見ることが出来ない未来の先でも、きっと愛されているこの曲が、いつだって皆んなにとっての甘さ最高濃度の空間であり続けますように。

STREAMING&DOWNLOAD:https://asab.lnk.to/aio_sakuranbo

大塚愛 Official Site:https://avex.jp/ai/
Twitter:https://twitter.com/ai_otsuka99
Instagram:https://www.instagram.com/aiotsuka_official/
YouTube Channel:https://www.youtube.com/channel/UCL-qdJpYtp1kJMp2914vkpw

おすすめ