コラム

【BiSH /CAN WE STiLL BE??】PYONGメンバーが選ぶ2022年思い出の一曲 共同レビュー②

コラムを担当している前川です。
とにかくBiSHの魅力にのめり込んだ1年でした。2023年をもって解散することが発表されたとき、Twitterのトレンドを見て「へえ、解散するんだ」程度にしか思っていなかったから、まさかその数ヶ月後、私にとってBiSHが特別で大切でとびきり愛おしい存在になるなんて思いもしませんでした。そんなBiSHとの出会いの入り口が「CAN WE STiLL BE??」のライブ映像。私にとって忘れがたい大切な1曲を、PYONGの他メンバーたちにもレビューしてもらいました。 

【コラム/前川】
破壊をテーマにしたアルバム『GOiNG TO DESTRUCTiON』の1曲目で、アルバム全体のイメージを聴き手に掴ませるインパクトがある。「襲うよ 焦燥感」という言葉を歌っているようにハテナが連なる自問自答の歌詞は、何かに追われているような焦り、生き急ぐような息苦しさがある。全体的に同じフレーズの繰り返しが多く、それもぐるぐる頭の中を彷徨う思考回路を表しているみたいで切迫感に体が強張る。人間らしさとは踠き、苦しみ、痛む時に輪郭がクッキリするもので、BiSHの泥臭く本能的な迫力に頭を殴られた気持ちになった。ゼロから築きあげてきたものを壊す時、その壁の向こうにはどんな景色が広がっているのだろう。みんなで築きあげたBiSHを壊す時、彼女たちの未来はどこに続くのだろう。命尽きることが決まっているBiSHの力強い生命力をこの曲から感じてほしい。

【ボーカル/松本】
6人がそれぞれ声質や歌い方に特徴があり、1曲聞くだけでも満足感がすごいです。基本的にチェストボイスかミックスボイスで歌っているので、曲全体に力強さが感じられます。盛り上がった後にシャウト(歌声と叫び声を混ぜた声)が入っているのも特徴的ですね。曲の荒んだ印象と叫ぶような感情がダイレクトに伝わってくる歌い方だと思います。そして何より驚いたのは、ずっと踊り続けながらこの音程の安定感を実現していることです。ライブ映像でも音程が安定していて、息継ぎするところに違和感もありません。日頃から体力づくりや肺活量のトレーニングをしているからこそできる芸当だと思います。
1つの曲を歌い上げるのに様々な要素があり、ひとつひとつがいい形で構成されているからこそ、評価される1曲だと私は思います。

【ギター/山口】
リードギター(バンド内でギターが2人いる場合にソロやイントロ等のリフを弾く)が
ハムバッカーのギターのフロントピックアップ(甘くて太い音が出る)で、とにかくキャッチーなリフを弾きまくっているのがかっこいいです。ギターの雰囲気的にはある種、ダークなヨルシカを思わせるようなスケール感というか印象でした。メンバーと共にギターも歌っている、歌える、まさに共鳴というのでしょうか。また、Official Video然りライブ映像然り熱量がすごく、生半可な気持ちで聞けば倒れてしまいそうだなと感じました。青春の抗いのような心が叫びたくなりました。

【ドラム/前田】
最初のバスドラムが印象的ですね。この曲においてドラムって焦燥感の演出に不可欠なのでは…?音も全体的に重く、鼓動みたいで、こちらも焦らされるのかエネルギーを持っていかれます(逆にこういった曲で元気になる人もいますよね、何ならそちらの方が多い)。
 BiSHが歩んできた道に関してはそこまで詳しくないけれど、悲壮感・叫びを感じるのに疾走感があり、前進系のリズムパターンが多いことにドラマを感じてしまいます。

【ベース/豊田】
シンプルだけど勢いがあって衝動的な「ザ、ロックバンド!」なベースだなと思いました。この曲のベースは基本ルート弾きが多く、個人的には聴きやすい、弾きやすいベースラインです。ですが、この曲のベースラインはそこで終わらず、カッコよさも演出しています。
フレーズの要所要所の末尾の部分やサビ前のBメロのベースラインが個人的には凄くカッコイイです。フレーズの終わりに細かい動きが所々あって、それが良いアクセントに感じます。さらにBメロの少しペースダウンし、少しの間他の楽器と合わせて動いている時のベースラインは1番の見せ所だと思います。この曲のベースは結構弾きたくなりました。

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