コラム

【耳をすませば】ジブリ作品をバイオリン経験者の視点から見る

こんにちは、普段はボーカル記事を書いている松本です。

突然ですが、皆さんはスタジオジブリ作品の「耳をすませば」を観たことはありますか?
今回はバイオリン経験者の視点からこの作品をレビューしていければと思います。ぜひ作品視聴後に読んでみてください。

※本文は一部ネタバレを含みますのでご注意ください。

私は実際に小学生の頃バイオリン工房を見学したことがあります。未完成の状態のバイオリンの様々な部品たちが並んでいたり、弦を張っていない楽器の本体が天井から釣り下がっていたりと壮観でした。木材の匂いやニスの匂いが漂いながら、落ち着いた木を叩く音や削る音が響いていて、落ち着きのある中に緊張感が張り詰めた独特な空間でした。地球屋での演奏シーンや楽器作成のシーンは、空気のイメージが掻き立てられて引き込まれるのでお気に入りです。

そんななかなか脚光を浴びないバイオリン職人になるという聖司くんの夢、なかなかマニアックなところに目をつけたなという印象があります。皆さんバイオリンを実際に手に持ってみたことや、直近で見たことはありますか?  私は実際に自分の楽器を弾いていて、音が綺麗で自分と一体化したように楽器ごと鳴っている印象を弾き手に与える、こんな繊細な楽器は私には作れないなと思います。それを作ろうと思い修行をしに行こうという聖司くんの心意気に尊敬しながら観ています。

バイオリンは、作り手の技術だけでなく本体の材質やサイズ、パーツごとの厚みなどによって全て音色が異なります。本体の出来だけでなく、最近のものなのか古いものなのか、製造年が古くても今まで弾いた人がいるのかいないのかで楽器本体の鳴り方・響き方が変わります。それだけ繊細で個々の魅力が詰まった楽器です。ちなみに私が使っている楽器は約100年前に造られた楽器で、中古で購入しました。とても優しく柔らかい音色で、私の身体と一体化して全体から楽器の鳴りを活かしてくれるようなところが気に入っています。

さて、ここまで私の体験談なども交えつつレビューしてきましたが、いかがでしたでしょうか。作中の聖司くんはまだ14歳。まだまだこれから先様々な経験をしていくであろう聖司くんが作り上げるバイオリンは一体どんな音を響かせていくのか、楽しみでなりません。

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