親しき仲にも礼儀あり。地元に愛される居酒屋/鶏料理・居酒屋あ〜ちゃん 長坂匡司さん(執筆:村上葵)


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京都市の伏見区の東部に位置する地域「醍醐」。豊臣秀吉が花見を行ったことでも知られている、醍醐寺があるのもこの地域だ。そんな醍醐の街で鶏料理の居酒屋がある。オープンしてから間もなく半年を迎えるのだが、お店にはすでに常連のお客さんが多く、地域の人たちで賑わっている。筆者はこのお店でアルバイトをしている。早く地元を出たいと思っている私が、地域の方とのつながりを大事にしているこの居酒屋で働いているなかで、気づいたことがたくさんあった。

◼︎地元でも楽しくておいしい料理が食べれるように
「うちは立ち飲み屋じゃないけど、立ち飲み屋みたいな感覚でふらっと寄って、仕事帰りでもちょろちょろっと食べて、ちょっと飲んで気持ちよくなって帰ってくれれば、それでオッケー」と語る大将の長坂さん。この居酒屋あ〜ちゃんでは、串を一本から注文することができる。「うちは、一本から注文できるっていうのにこだわっている」。他のチェーン店では、一本の量が多かったり、串は二本からなどと決まっていることが多いのだ。お客さんからも、注文は一本からでも大丈夫なのかと、よく聞かれるそうだ。「全然構いませんよ。その人は串一本、ビール一杯でお腹いっぱいになる人かもしれへんやん。それでいいのよ。」「街に出しても恥ずかしくないくらいおいしい料理を、できるだけお手軽な値段で、楽しく地元でも食べられるようにしたい。そうなると、地元も活気付いてくる。そういう店舗が増えてほしい。」日々奮闘中だ。

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◼︎基本コンセプトは一緒
お店を開きたいと考えていた時、偶然見つけた今の場所は、大阪出身の大将が「新参者」と呼ばれる地であった。大将自身も「自分は新参者ですから」と言っているのを聞いたことがある。しかし、そんなことは関係なしに常連のお客さんが顔を出しに来てくれる。お店を立ち上げるにあたって、こんな雰囲気のお店にしたい、料理はこんな感じにしたい、などといったコンセプトがあった大将。だが、開店して一ヶ月、ニヶ月と経つと、料理の内容を作り変えるなどして、修正していったそうだ。「10人いたら、10人が満足するお店ってのは100パーセント無理やから、そこまでは望んでない。でも、7、8人近くは、なんらかのいい印象を持って帰ってもらえたらなって思う。」

◼︎うそはつかない
お客さんと接するときに気に掛けていることを尋ねると、「お客さんには絶対に嘘はつかない。ごまかして作ったりはしない。当たり前のことは当たり前にするだけ、まっとうなことをするだけ。」と語る大将の目からは誠実さがうかがえた。「自分が他のお店に行って、嫌と感じたことや、してほしくないなって思うことは絶対にお客さんにしない。」個人のお店では、お客さんとの距離が近い分、馴れ合いになってしまいがちだ。しかし、それは絶対にしたくないというこだわりからは、お金を出してお店に来てくださる以上は、おいしいものをちゃんと適正な価格で提供したいという強い思いが感じられた。

◼︎おいしいって言ってもらえたとき
お店をやっていて嬉しかったことを尋ねると、「この店おいしいな、また来るわ、って、そういう風に言ってくれたお客さんが、実際言うてる通りまた来てくれた時が一番嬉しい。」と、笑顔で教えてくれた。料理を作っている以上、やはりお客さんにおいしいと言ってもらえることに喜びを感じるそうだ。他にも「お客さん同士が知らない間に仲良くなっているとき」など、地域の方のつながりがお店の中で広がるのを目の当たりにしたときに嬉しく思うと答えてくれた。居酒屋あ〜ちゃんはお客さんとお客さんが繋がれる、とっておきの場所なのだ。最後に、「うちも地域の行事ごとなどは積極的に参加して、いろんな方と交流を深めていきたい。」とこれからの目標を語ってくださった。

◼︎取材を終えて
地元とはなんとも不思議なものだなと感じた。普通に暮らしているだけじゃ、きっとすれ違う程度だった地元の人たちが、居酒屋あ〜ちゃんで働くことによって関わりが広がり楽しくお話できるのだから。ずっと地元を好きになれなかった私が、一歩飛び込んでみると、地域の方たちは優しく迎え入れてくれる。どんな土地であっても、誠実に接していくことこそが自分にとっての大切な地元になるのだなと感じた。

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鶏料理・居酒屋あ〜ちゃん
〒601-1353 京都市伏見区醍醐御園尾町35-4御園ハイツ105
TEL 090-1136-2546
営業時間 18:00~24:00
定休日 水曜日