人と関わる様々なかたち/片手で卵が割れるシンガー 北川知早さん(執筆:成田芽依)


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 滋賀県在住の“片手で卵が割れるシンガー”こと北川知早さんは、現在京都精華大学の4回生。主に関西を拠点にライブ活動をしているが、その活動は音楽のみに限ったものではない。
 私が京都精華大学に入学した頃から、学部学科の先輩である北川さんの活動を目にしてきていたが、最近では大学内で自身が淹れたコーヒーを販売したり、日本一周を遂行したりと、その方向性は多岐にわたっている。
 北川さんは、様々なかたちで“人”との関わりを築いているようで、その明るい人柄や積極性は、見習うべき点が多々ある。
 自身が取り組んできた今までの活動が、今後の北川さんをどのような方向へと向かわせ、今後はどのように社会と関わっていきたいのか、今までの活動内容と合わせて、話を聞いてみた。

◼︎ランデヴー
 私が初めて北川さんを知ったのは、京都精華大学の新入生歓迎祭を見ていた時だった。ステージ演奏で初めて北川さんの声を聞いた時は衝撃だった。その歌声はあまりにもまっすぐで、一度聞いただけで私の心の中に突き刺さってきた。

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この時演奏していたのは、北川さんが同じサークルのメンバーと結成したバンド、「ランデヴー」だったことをのちに知る。ランデヴーはスリーピースバンドで、北川さん曰く思いつきでできたバンドだそうだが、3人はそれぞれこのバンドを大切にしているように私には見えた。
 同バンドは現在、それぞれがやりたいことに集中するために、ライブ活動は行っていないようだ。しかし、6月に三条の鴨川沿いで久々の路上ライブを行うなど、機会があれば3人で演奏はしているらしい。北川さんはこのバンドについて「3人ともバンド一筋というわけではないが、それぞれのやりたいことを尊重しながら気ままに活動している」と語ってくれた。

◼︎原付で日本を制覇
 北川さんは、大学に入学する以前から「何かでかいことをしたい!」という願望があったという。そこで彼女が考えたのが「日本制覇をしよう」という試みだった。
 そして2016年、ギター片手に原付バイクに跨り、数ヶ月かけて47都道府県すべてを見事制覇した。なぜ原付バイクで一周しようと思ったのかと聞くと、「自分の持っている移動手段で最速だったから」と北川さんは笑って話してくれた。
 道中は、各地域でストリートライブをしたり、そのライブをツイキャスで配信したりしていたようだ。関西と比べて人通りの少ない、田舎の駅前でライブをした時は、「果たして立ち止まってくれる人がいるのか」「お巡りさんに注意されないだろうか」と不安に思う時もあったというが、色々な場所を巡って、持参したランデヴーのCDを買ってもらったり、青森では、47都道府県路上ライブを試みる、大阪から来た似た境遇の人と出会ったりしたという。
 旅を終えてからも、人との繋がりを感じる機会は多いようで、SNSで繋がった相手からコンタクトがあったり、知り合った人からライブに誘われたりなど、道中の人との関わりは、その後の北川さんの活動にも大きく影響している。
 「学生時代にやろうと思わなかったらきっと一生できないから、とりあえず飛び込もう!」と北川さんは語っていた。

◼︎晴太屋(parutaya)
 2017年の夏頃から、北川さんは京都精華大学の食堂付近の一角で、淹れたてのコーヒーの販売をしている。私はコーヒーが好きなのでよく足を運ぶのだが、そこはただコーヒーを飲むだけではなく、学内の様々な人が集い、会話を交わす温かな空間だった。

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もともとコーヒーが特別好きなわけではなかったと北川さんは言っていたが、近所の喫茶店に通うにつれ、「一口にコーヒーといっても、いろいろ種類があるんだな」と気づき、興味を持ったのだという。そこで、大学でコーヒーを淹れ始め、小さな憩いのスペースを生み出した。最初は一人でやっていたが、現在は北川さんの友人が隣で手作りのパンを販売している時もある。

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北川さんが生み出した小さな空間は「晴太屋」(parutaya)と名付けられ、週に一度大学に現れるようになった。日付は不定期だが、美味しいコーヒーとパン、温かい空間を求めて、一度訪れてみてはいかがだろうか。

◼︎「とにかくおもろいことがしたい!」
 北川さんの様々な活動内容を聞いた上で、彼女に今後の展望を聞いてみると、「また旅に出たい」と語った。
 「前回は、学生だったから、日本一周をしたいという目的があって旅に出た けれど、本来旅に目的は必要ない、でも、何かきっかけがあったらいい、それを今模索している。」と語る北川さんは、周りの人に気づかれないうちに旅に出ていたいと言いながら笑っていた。
 いつか旅に出るために、今は一番そばにある音楽を、歌を頑張っていきたいのだという。北川さんにとって、歌はかけがえのない存在なのだ。
 今回紹介したのは、北川さんの活動のほんの一部であり、きっとこれからも彼女の活動は増え、様々な人との出会いを果たすのだろう。
 「とにかくおもろいことをしたい!!」という北川さんの旅は、今後もまだまだ続いていく。

◼︎取材を終えて
 今回北川さんから様々な取り組みのお話を聞いて、「おもろいことをやりたい」を「おもろいことをやる」に次々と変えていくそのモチベーションの高さと、そのおもろいことにたくさんの人が加わり、輪が広がっていく様子に、北川さんの行動力と積極性の高さ、そして人柄の良さを垣間見ることができた。
 私は人と関わるのが苦手だ。だからこそ、様々な人と関わって、いろいろなことを吸収していく北川さんを心から尊敬している。私も、臆せずに他人と関わっていけたら、知らない世界に出会うことができるのだろうか。
 今後の私は、北川さんの良いところを見習って、自分から人と関わっていき、視野を広げていきたい。そして、晴太屋さんのような人が集まれる場所を作って、温かな空間を作れたら理想だなと考えている。

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参考:http://ktgwcs.tumblr.com