母・麻里子はソーシャルデザイナー 高橋麻里子さん(執筆:高橋藍)


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■現在、一番私たちの身近にあるSNSで、気がついたらソーシャルデザイナーに

 現在、スマホを持っている誰もが楽しんでいるSNS。中でもFacebookは、おそらく誰のスマホの中にも入っており、老若男女の情報発信のメディアとなっているでしょう。筆者の母の高橋麻里子もFacebookの愛用者で、彼女はただ楽しむだけでなく、障害を持った息子との生活を母親の視線を綴り、発信しています。その発信の仕方はとてもユニークで、投稿する文章は面白く、時には自前のイラストもついていたりします。そして、彼女の投稿のコメント欄はいつも賑やかです。もともと彼女は、ソーシャルデザインという存在さえ知りませんでしたが、知らず知らずのうちにソーシャルデザイナーになってしまっていました。
 そんなFacebookを活用しているソーシャルデザイナー、母・麻里子について紹介します。

■最初はFacebookを純粋に楽しんでいた

 初めは、日常の出来事を地元の同級生たちに共有してFacebookを楽しんでいました。何気ない日常、家族との面白いエピソードを載せていると、自然と障害を持った息子のことも載せることになります。もちろん家族とのエピソードを普通に書いていることには変わりはありません。しかし同時に「これは障害者について知ってもらう一つのツールになるのではないか」と考えるようになりました。

■少しでも知っているだけでだいぶ違う 外も内も

 普段の生活に、障害を持った人と接する機会はほとんどないと思います。もし、接する機会が訪れた時に、慣れていないと戸惑ってしまうのではないでしょうか。母・麻里子はそんな人たちに向けて、誤解を与えないように、変に気を張らなくて済むようにと思いながら発信しています。
 外ということは、前述の障害を持っている人と関わる機会がほぼない人を指しました。もう一つの内とは、障害を持った人の家族のことです。
 母・麻里子は息子の育児中は、辛い状態に置かれ見通しが立たずに不安でした。このように思っているママさんたちは多いと思い、そんなママさんたちにこの不安な状態には終わりがくること、安心して欲しい、大丈夫だよって伝えたいというメッセジーが込められています。

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(息子の育児エピソードを、母・麻里子が紙芝居にしたものの一部。)
(左:自転車の上でパニックを起こす息子。)
(右:運動会の競技中に母・麻里子の姿を見つけると、泣いて駆け寄ってくる息子。)

■昔から、分かりにくいことほどイラストを用いて視覚的にわかりやすくしてきた

 幼少時代から、絵を描くことが好きでそれは大きくなってからも変わりません。そして、難しいことほど理解するための工夫として、視覚的にみてわかりやすくすることを心がけてきました。大学生の時にとった複雑な記録を提出用にわかりやすくするため、「フローチャート」を用いたり、研修先でレポートを書かないといけない際は、みんなが見て楽しくなるように漫画にしたりしていました。自分自身が、物事を理解する時は視覚的に見る方が良いと知っていたため、自然と心がけていました。Facebookの活動においても、この知恵が存分に活かされています。

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(母・麻里子が、過去に研修先で書いたレポート)

■それぞれの視点がある

 障害者問題、特に育児に対しての問題に関心を持ったきっかけは、やはり当事者になったことでした。障害を持った息子を授かったことから全てが始まります。
 息子を育てる際に、とてもたくさんの情報をリサーチしましたが、どれも医学的なものが多く、母親、家族視点で書かれたものがなかったことにとても困りました。医師の記録はあくまで医師視点であり、子育てや生活には何の役にもなりません。その時に、それぞれの視点があり、当事者にしかわからないことがあるということを発見し、実感しました。医療の視点で見たら医師はその道のプロフェッショナル。子育てや生活の視点で見たら、母親はその道のプロフェッショナルなのです。
 本当は、本当に当事者である息子自身が自分のことを発信できたら良いけれど、彼は他者に対してわかりやすく論理的に自分の意思を話したり、表現することが苦手です。正しい情報をわかりやすく発信することができないため、母・麻里子はこれからも発信していこうと思っています。

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(困った行動をとった時こそ発達のチャンスです。保育園時代に掃除をサボる息子を園長先生が叱るシーン。母・麻里子の紙芝居より)

個人情報という壁
 息子の個人情報の問題もあるため、現在の投稿の閲覧は母・麻里子の友達のみとなっています。約150人の友達が彼女の投稿を見て、何かの機会に友達から友達へ投稿の内容が伝われば良いと思っています。多くの人に知ってもらいたいけれど、プライバシー問題がありなかなか広げられないことがもどかしいところです。

母は母親として。これから私は…
 私にとって一番身近な存在である母に、弟のことについてインタビューするというなんとも不思議な体験でした。身近になりすぎていることを、改めてインタビューして大切なところを取り上げ記事にしていくという作業は、とても楽しかったです。知ってはいたけれど、起っている現状を周りの人たちに知ってもらうことの大切さを、母と話すことで、改めて感じました。現在私がソーシャルデザインについて関心を持っていることも、家族のことが大きいのかもしれないと思いました。母は母親として、Facebookで投稿という形で発信しています。私は、今後の活動や仕事でどのように発信していったら良いのかを学びながら考えて行きたいと思いました。