京都精華大学ポピュラーカルチャー学部

ファション

音楽

2015・2・12授業紹介

音楽学科

高田漣さんのスライドギター・ワークショップ

 1月21日と22日の2日間、通常授業外の特別講座として、高田漣さんをお招きしてスライドギターのワークショップが開かれました。普段あまり勉強する機会のないスライドギターということもあって、ギターをよくする学生ばかりでなく、普段はバンドでベースやドラムを担当している学生も参加していました。

takada2

 1日目はスライドギターの歴史的背景やチューニング方法、基本テクニックの解説から始まりました。スライドバーという器具(元来はビンの首の部分を切り取って使ったことから「ボトルネック」とも呼ばれる)を指にはめて弦の上を滑らせるスライドギターは、音の高さをなめらかに変化させてフレーズを奏でるのが特徴です。高田さんによれば、スライドバーは表面が粗い方がニュアンスが出るとか。高校の頃に自作したものを今でも使っているそうです。
 一方、フレットに合わせて弦を押さえることで正確な音程が得られる一般的なギター奏法とは違って、スライドギターでは音程が不安定になりがちです。そこで、1日目はもっぱら基本的な練習に時間を費やしました。スライドバーで弦を押さえてもコードが鳴らせる「オープン・チューニング」を使うと、特定のフレットに合わせて押さえるだけですぐにブルース形式の演奏ができます。板書されたコード進行に合わせて、基本のスケール(音階)や、音を揺らすなどブルースらしいニュアンスの出し方を練習しました。高田さん曰く、スライドギターでは演奏上の迷いが音に如実に表れるため、フレットを目で見ることに頼らず、耳で鳴っている音を聴くことが大事とのこと。

 2日目は応用編。まずはライ・クーダー、リトル・フィート、鈴木茂といったミュージシャンの音源を聴いて、スライドギターの演奏スタイルについて解説を受けました。ギタリストによってチューニングやスライドバーを持つ位置が異なり、そこから表現の違いが現れてきます。そうしたことも意識した上で、高田さんのバッキングに合わせて学生がフレーズを弾くというギター・セッションが行われました。
 初めてスライドバーを手にしたという参加者が大半だった中で、思いのほか簡単にいろいろな演奏方法が試せるということを、何人もの学生がつかんでくれたように思います。スライドギターといえばブルースやカントリーのイメージが強く、けっして現在流行しているサウンドというわけではないかもしれません。しかし、今時のギタリストがあまりやらないスタイルを理解することで、表現の幅を広げて人と違うことをするという発想や、そのために必要な要素を見出すこともできるのではないでしょうか。