おぉガウェインよ、何処へ行く。〜グリーンナイトを見た〜
京都シネマでグリーンナイトを観た。
A24制作、デヴィッド・ロウリー監督が手がける中世ファンタジー映画だ。アーサー王物語で有名なガウェイン卿。彼の詩であるガウェイン卿と緑の騎士を題材にしている。
クリスマスの日、娼館の中で目覚めるガウェインは若く、何も栄誉がない。彼は王の隣に立つために栄誉を求め、緑の騎士の決闘に乗り、奴の頭を切り落とす。
緑の騎士は「これはゲームだ」と笑いながら、来年のクリスマスに自分を見つけ出し、ガウェインが自分にしたことと、同じことをされることを望む。そう、ガウェインは首を落としたので、首を落とされなければならない。そして来年のクリスマス、栄誉を求め、何も栄誉が無いガウェインは、幾分か渋りながらも、緑の騎士を探しに出かける。
本作は画面が非常に美しい映画だ。イギリスっぽさもありつつ、どこか異世界の様な風景。クリスマス目前、12月の寒々しい大地、そして豊かな森林と光は緑の騎士を探しに旅に出るのに相応しい景色だろう。
そしてそれは自然だけに止まらない。赤い鮮血も、緑の騎士の造形も、出てくる衣装も全てが綺麗でかっこいい。特にガウェインが最初確か円卓で着ている服、なんかもうBYBORREみたいに見えてくる。パイピングみたいなラインのせいだろうか?
個人的にああいった中世のローブ的な、どこかノマドを想起させるような服を見ているとテックウェアの方を思い出す。私だけだろうか?私だけかもしれない。
と思ってみていたら特徴的な王冠、青や白の発色、形ともどもまた素晴らしい服達、どこか石岡瑛子味も感じるものが出てくる。
とにかく出てくる全て、カメラワークから何から何までかっこいいのだ。
そしてその中で何もないガウェインは名誉もなく、親切ともいえず、騎士らしくもない。ただ、善良ではある。
彼は旅の果てに何を考え、何を選択するのか?
今なら多くの映画館でやっているし、めちゃくちゃ画面が暗い映画なので是非劇場で。京都シネマで観るなら前目をお薦めする。
私も早く緑の騎士になって頭を抱えて高笑いしたいという気持ちになれる、とても良い映画だ。
(文・写真 / 丸橋)