2014・12・29入試関連,読みもの
京都精華大学ではAO入試の合格者を対象とする入学前教育を行っています。ポピュラーカルチャー学部(ファッションコース/音楽コース)でも、11月と1月にスクーリングを実施しているほか、入学予定者が自分で取り組めるような課題を用意しています(スクーリングの際に、できた分の課題について添削やアドバイスを受けることもできます)。今回はファッションコースの課題から、本を読んで要約を作る読書課題を紹介します。
ここに挙げた図書は、一見ファッションコースの課題図書には思えないかもしれませんが、よりよい仕事をするためには何よりも「考える」ことが大事です。そして、考える習慣をつけるためには本を読むのがいちばんの近道。教員の蘆田裕史が選んだ本を短いコメント付きで掲載します。
衣服は私たちの日常生活に欠かせないはずなのに、改めて衣服について考えることってあまりありませんよね。鷲田さんの専門である哲学の視点から、人間の身体と服の関係について考えるきっかけを与えてくれる一冊です。
IKEAや保育園から選挙やインターネットまで、日常的な物事について社会学者(古市さん)と哲学者(國分さん)が会話を繰り広げています。何気なく見ているものについて深く考えることができれば、あなたの視野は必ず広がるはずです。
「生きていくために本当にお金は必要なの?」「大地は自然のものなのに、土地を所有できるっておかしくない?」など、言われてみれば「たしかに!」と思ってしまう疑問を出発点に、私たちの世界の見方を変える方法を教えてくれます。
インターネットが発達した現在、私たちは日本にいながらにして、ヨーロッパの景色も、アフリカの政治情勢も、南米の文化も知ることができます。そのような現代社会では、何かをするのに「場所性」など関係ないと思われがちですが、実はそうではないということを教えてくれる本。平易な言葉で書かれてはいますが、れっきとした哲学の本です。
「哲学って難しそう」と思っている人に読んでほしい一冊。この本は、14歳の少女ソフィーを主人公とするミステリー仕立てのファンタジーなのですが、れっきとした哲学の本でもあるのです。物語を楽しみながら哲学の歴史まで知ることができてお得感いっぱいです。
ファッションデザイナーになりたい人は、まず「デザイン」がどのようなものなのかを知るべきです。料理人が包丁の使い方をまず身に着けるように、スポーツ選手がまず筋トレや走り込みをするように、オーソドックスなデザインの考え方をまず身に着けてほしい。その教科書としてうってつけなのがこの本です。
世の中にあふれる小説のなかには「ファッション論」として読めるものがいくつもありますが、『箱男』はその代表だと思います。小説でもアニメでもマンガでも、どこにでもファッションについて考えるきっかけはあるのです。この本をきっかけに、何かを読む/見るときに「ファッション」を意識するようにしてください。
「デザイン」という言葉は「モノ」を作ることだけを指すのではありません。人と人との関係であったり、場所の使い方であったり、さまざまな「コト」をデザインによって改良することができるのです。そんなことをこの本で学んでもらえたら。
谷崎潤一郎はとてもきれいな日本語を書く作家です。小説としては「刺青」などを読んでもらうのが良いのですが、まずはデザイン論として読める本書から手に取ってみてください。
特にこの4人じゃないといけないというわけではなく、古典的な詩を読んでください。というのは、言葉による表現の幅を広げてほしいからです。言語化は感覚と密接な関係を持っています。なんでも「かわいい」で済ましていては、感覚は豊かになりません。まずは詩人や小説家の表現に触れる機会をできるだけ多くし、語彙や表現力を豊かにすることから始めてみましょう。