京都精華大学ポピュラーカルチャー学部

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2016・10・7入試関連

ファッション学科

ファッションコース入試実技試験「ファッション・デザイン」はこう取り組もう(前編)

※2019年度入試からの入試内容変更により、現在この「ファッション・デザイン」入試は実施されておりません。しかしながら、この入試はファッションコースの教学方針を具体的に示したでもあるため、引き続き掲載しております。

 京都精華大学の公募制推薦入試[学校推薦型]B日程(2016年11月13日実施)および一般入試前期B日程(2017年2月1日実施)において、ファッションコースでは専門実技試験「ファッション・デザイン」を実施します(他の日程では学力試験等でも受験できます)。この試験では、入学後のカリキュラムでファッションを専門的に学ぶために求められる素養や、ファッションと向き合うための姿勢を評価します。
 本コース独自の入試であるこの「ファッション・デザイン」の内容や答案作成の手順、評価基準、勉強方法について解説します。

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試験の概要

 「ファッション・デザイン」は以下のような内容の試験です(解答時間は180分)。

 現在、日本で販売されているファッションや衣料品にはさまざまな問題点があります。そのなかから、何かを変えることで多数の利用者と製造者双方の満足度を高められると考えられる点をいくつか挙げなさい。
 これらの問題を分析し、それぞれについて2つまでの解決方法を考えなさい。その際、以下の点に気をつけること(解答用紙①を使用)。

  • 解決する問題点は、商品自体の美的な側面でも、商業的な側面(サービスやシステムなど)でも構わない。
  • どのようにすれば利用者の興味を惹くことができるか。
  • 工程や構造に無理のない計画であること。
  • 解決案を提示する「問題点」は最大6つまでとする。

 上記のなかから、最も効果的と考えられる案を2つ以上(最大5つまで)練り上げ、その詳細を、実物を想像しやすい大きさで図解しながら明快に説明しなさい。その際、以下の点に気をつけること(解答用紙②を使用)。

  • 物による解決を試みる場合は、それを使うときの物理的効果、心理的効果の双方をしっかりと予測し、目的に合わせたかたちを導くこと。
  • 色、かたち、素材は簡素かつ美しく、創造的に調和していること。

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 解答用紙は2種類あります。解答用紙①(A3サイズ両面、写真左上)1枚、解答用紙②(A3サイズ片面、写真左下)5枚を使って解答を作成してください。そのほかに下書き用紙5枚が用意されます。一般的な筆記用具に加えて、図の彩色のために色鉛筆などの文具を用意してください。水は使えませんので絵の具などは避け普段使い慣れたものを持ってきてください。定規や修正ペンもあると便利でしょう。
 解答用紙①に「問題点」を最大6つと、それぞれの「問題点」に対する解決方法を1つもしくは2つずつ書きます。解答用紙②には、①の中から最も効果的と考えられる案2つ以上(最大5つまで)を、よりくわしく図解入りで解説します。彩色などしてイメージしやすく書いてください。

答案作成の手順(1): 問題点の整理と発展

 まずは、ファッションについての「問題点」を、思いつく限り下書き用紙に書き整理しましょう。手順(2)でも説明しますが、服の機能についての問題、流通の仕方についての問題など様々な「問題点」が考えられます。いきなり問題用紙に書くのではなく、系統立てて整理することによって、読み手だけでなく自分にとっても問題点の把握がしやすくなります。
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 普段から気になったことをメモなどして頭の中の引き出しにためておいてください。当日は、上の写真のように箇条書きで、頭の中に思いつくことをいったんすべて書き出し、下記のような分類で系統立てて整理しましょう。

【分類の例】

  • 視点1: 身体的特徴や普段の生活で不便な点を服で解決する
  • 視点2: 服の機能面の改善
  • 視点3: 服の印象面の改善
  • 視点4: 服の流通の改善(販売時など)

ここで上げた視点は、あくまで例です。これ以外にも自身の視点で分類してもかまいません。ポイントは、最初から問題点の分析や解決方法を考えながら書くのではなく、

  • 普段、思っていることを書き出す
  • 分類する
  • 分類した書き出しを分析して、近しいものを合わせて一つにする
  • 分類した書き出しから、考えを発展させる

というように、しっかりとステップを踏むことです。
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 例えば、上記のように、2つの書き出しを整理して、下記の問題点と解決方法にまとめましょう。ここでは、他で書きだしていた印象を変える服という問題点の答えを、他の問題点的な書き出しを変化せることで生み出しています。普段の気づきの視点を変化させることで、他の気づきと組み合わせて問題点や解決方法になったりするので、一度、頭の中から出しリスト化と整理をするとよりまとめやすいでしょう。

◆問題点の分析: 同じ服でも、着る環境や着る人によって印象を変えたい。
⇒ 解決方法1: 襟ぐりの空き方を調節できるトップス。
⇒ 解決方法2: 袖の長さをつけ替えられるトップス。

 上記のように、他で上げた問題点の答えを、他で書き出していた「欲しいと思ったデザインの服だけどスソやソデの長さが気にくわない」と「えり開き方」という問題点を整理して変化させることで作り出しています。書き出すことでこのようにステップを踏んで答えを作り出すことができます。
 また、下記のように、アイデアの整理と発展も、書き出したほうが容易になります。
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◆問題点の分析: オー脚エックス脚の人はストレートパンツやスキニーをはくとみっともなく見える
⇒ 解決方法1: オー脚……股下に分量つくり、テーパード気味にすそへ向かう。(ねかし)そのまま落としてもよい。
⇒ 解決方法2: エックス脚……股下えぐって、ひき下が内側カーブで広がる。

 この例では、体形をカバーする服というアイデアから、思いつく体の一部を書き出すことによって、解決方法までの道のりをチャート化でき、より考えやすくなっています。また、絵をかきながら考えをまとめることも、アイデアを整理する良い方法です。
 問題点の整理はできたでしょうか?

 後編では、答案を完成させるまでの流れの解説と解答への講評を行います。

ファッションコース入試実技試験「ファッション・デザイン」はこう取り組もう(後編)