第二回公開研究会のお知らせ

ポエトリーリーディング研究会第二回公開研究会
2018年7月14日(土) 15時00分〜18時00分(予定)
立誠図書館現在工事中の元・立誠小学校跡地に新設されたばかりの新しい図書館です。マイクロライブラリー運動の一環としても注目を集めています。アクセス情報はこちら
入場無料・一般公開


第二回:「声」の模索編

5月19日に行われた第一回公開研究会では、三者三様に、ポエトリーリーディングに関する問題意識の導入と文脈の共有をしました。第二回研究会では、そこからさらに一歩踏み込んで、それぞれの問題意識に切り込んでいきます。問題意識はさまざまですが、おそらくわれわれの関心を一つの言葉にまとめるとすると、「声」の模索、ということになりそうです。

タカツキタツキは、5月19日、自らポエトリーリーディングを実演しつつ、「遅い音楽」に対する深い理解と愛情を語りました。サンプルから制作したループを延々と聴き続けているときになぜか脳裏に浮かんでくる景色に導かれ、それがどこまで共意識として成立するのか、それを確かめる旅が始まったのです。7月14日の研究会では、繰り返し再生される自作ループに、自分の「声」を乗せたくなったその理由と、どのような「声」をどのように乗せるべきかというその至極私的かつ方法的な試行錯誤の足跡について話す予定です。

荏開津広は、詩の内側と外側を見回して、階級の問題(誰が読むのか?)、コンテントの問題(何が読まれるのか?)、時間の問題(いつ読まれるのか?そして詩の音韻は時間をどう分節するのか?)、パフォーマンスの問題(どのように読まれるのか?)、そして場所の問題(どこで読まれるのか?そしてそれが都市空間の発達とどう関わるのか?)という多重なレイヤーを提示しました。二回目の研究会では日本のポエトリーリーディングがどのような場で、どのように読まれているのか(きたのか)、を追いかけるつもり。

安田昌弘は、そもそも人間にとって「詩」とはなになのか、その位置づけの変遷をたどり、近代詩が追い求めてきた/追い続けている「私」が、ポストモダンとか後期近代と呼ばれている現代においてどう位置づけられるか、そのなかでポエトリーリーディングはどういう役割を持ちうるのか、という問題提起をおこないました。七月の研究会では、これまであまり一緒に語られることのなかった詩(poem)と唄(song)の関係について、特に戦後日本のポピュラーミュージックの歌詞に注目して掘り下げてみようと思っています。

今年1月と2月に実施したポエトリーリーディングのワークショップがなかなか実りある内容であったことにすっかり気を良くしたわれわれが、日本(語)でポエトリーリーディングをする場合の入り口とその意義をもう一度きちんと考えようということで、一年間かけておこなう計4回の公開研究会です(7月14日の第二回公開研究会の場所は現在調整中(大学の教室は辛気臭い)木屋町通り沿いの立誠図書館。今後は、11月と来年1月を予定。日程は決まり次第お知らせします)。

詩と音楽の関係に興味のある方や、唄をつくりたいけれど、作詩に苦手意識のある方に、是非いらしていただければと思います。入場は無料、だれでも参加可能です。


タカツキタツキ

ニューヨリカンポエッツカフェでの朗読とびこみ参加よりキャリアを開始する。SSWS(新宿スポークンワーズスラム)初代グランドチャンピオン。ラップグループSMRYTRPS名義でメジャーデビュー。ポエトリーミクスチャーンバンドSUIKA名義でフジロック、フランスツアーなど。女性シンガー、エイミアンナプルナとのユニットiLalaはS-KENプロデュースによる。
楽しみは街のプランターにこっそり種を撒くこと

荏開津広

執筆/DJ/京都精華大学、立教大学非常勤講師。ポンピドゥー・センター発の映像祭オール・ピスト京都プログラム・ディレクター。90年代初頭より東京の黎明期のクラブでDJを開始、以後執筆/翻訳/選曲など主にストリート/ロウ・カルチャーの領域において国内外で活動。ジャンルはファンク、ジャズ、ダブ中心。共訳書にA・リクト著『サウンド・アート』(2010年、フィルム・アート社)。
楽しみは豆餅持参の隅田川と鴨川の散歩

安田昌弘

京都精華大学ポピュラーカルチャー学部教授。英レスター大学マスコミ研究所(CMCR)で日仏ヒップホップ文化の研究を行いPh.D.取得。現在は関西、特に京都の音楽シーンについてフィールドワークを行っている。訳書に『ポピュラー音楽理論入門』(2003年、水声社)、『ポピュラー音楽をつくる』(2004年、みすず書房)、『ぼくの名前はズッキーニ』(2018年、DU Books)など。
楽しみは平日朝11時のAMラジオ