イントロダクション
安田:皆さんこんにちは。今日はポエトリーリーディング研究会にお運び頂き有難うございます。わたくし安田昌弘と申しまして、京都精華大学の音楽コースで教員をしています。この研究会を始めたきっかけは、去年タカツキさんが京都に越していらっしゃったという噂が……
荏開津:うん。
タカツキ:ちょうど……
安田:一昨年?去年くらい?
タカツキ:去年の四月、五月ですかね。だから今頃ですかね。
安田:で、タカツキさんが京都に来たっていう話になって、ポエトリーリーディング、詩の朗読、音楽にのせて詩を読むっていうの――あんまりうちの学生も知らないので――なんかそのイニシエーションになるようなワークショップをやってみよう、ということでお声がけして、それを、年明けて今年の一月と二月に、二回に分けて行って……
タカツキ:そうですね。
安田:まあ「ポエトリーリーディング」って聞き慣れない言葉だから、字面をみて、「ハードル高そう」と思った学生もいたみたいなんですけど、でも実際にこう自分が書いた詩を、リズムにのせて一六小節分朗読するっていうのをやらせてみたら、多分、言葉に身体性っていうか体がくっついてくるので、みんな楽しんでくれました。僕らとしてもやってよかったし、参加した学生のあいだでも評判が良くって――まあ学生だけではなかったんですけど――なんか次ができたらいいね、ということで、あの〜、色々金策に回りまして、まあ……
荏開津:リアルですね(笑)……
安田:(笑)……。公開研究会をやってみようということになりました。今日はその第一回目です。で、今のところ、年度内に四回やろうと思ってます。次回の日程ももう決まっていて。皆さんお手元のメモはよいですか(笑)?
荏開津:ははっ。
安田:7月14日。え〜どっかの国の独立記念日かなんかじゃないですかね……?
荏開津:お〜。
タカツキ:そうだったですか?
安田:え〜と7月14日を予定してます。で、内容は、今日僕らが、皆さんとどのような対話ができるかによってちょっと変わってくるので、今のところ未定、ということでございます。
ということで、ご紹介遅れましたけど、向こうから、タカツキタツキさんと、それから荏開津広さんです。今日はよろしくお願いします。
荏開津:よろしくお願いしま〜す。
安田:研究会というかたちなので、最初僕ら三人が二五分から三〇分くらいずつお話をして、で、その後にちょっと出て来た質問とかも含めて、皆さんと対話というか質疑応答とかができたらなと思っています。今日は僕が、詩っていうものに期待されている役割がどういう風に変わって来たのか、っていうお話を最初にします。「詩」とか「詩の朗読」って言った時に、僕らみんななんとなく構えてしまうような気がします。「詩」というと、なにかとてもパーソナルなもの、脆くて儚くて繊細な、個人の内面を扱うものとして、詩を位置づけていると思います。じゃあそのなかで、日本語ラップとか、フリースタイルとか、サイファーとか、そういうのが流行っていたりするなかで、ポエトリーリーディングっていうのはどうやって位置づけたらいいのかっていう、最初こうざっくりと文脈作りをして、それから次に、もうちょっと具体的に、ポエトリーリーディングのビートニク的ルーツとか、それから実際に日本で、そのような文脈でやった人たちの活動の概要というのを荏開津さんにお話いただいて、最後に、タカツキさんが、実際にどうやって詩を読むのか、っていうお話をしてくださいます。そういう順番で行きたいと思います。
途中休憩を挟みつつ進めたいと思います。一応、終わりの時間は五時くらいと考えているんですけど、あの別に五時になったらこの教室から絶対出なきゃいけないとかそういうこともないので。あの〜、あとで実は、詩を読みたいですとか……
タカツキ:あ〜。
安田:そういう方がいらっしゃったら……
荏開津:うんうん。
安田:あの〜そこにマイクロフォンも何本かありますので、そういう風な展開もありっていうことですよね。
荏開津:そうですね。
タカツキ:うんうん。
つづき
(2)詩の立ち位置
(4)淘汰される側のラップ論、またはヒップホップの年の取り方
(5)質疑応答