J-popやロックばかりでなく、ダンスミュージック、ラップ、ゲーム音楽と、人々の関心を集める音楽はいまや非常に多岐にわたっています。そしてそこからは新しいサウンドも次々と生み出されていきます。流行を後追いするのではなく「これからの音楽」を考え創造できる人を育てるために、本コースでは特定のジャンルにこだわらず、さまざまな音楽的関心や経験をもった学生同士が刺激しあえる環境を整備しました。
本コースでは、耳を研ぎ澄まし、多様な響きをしっかりと聴きとれるようになることを重視しています。プロの音楽制作に堪えるレコーディング・スタジオや、機材を完備した練習室で、授業時間以外でも学生が自主的に研鑽を積むことができます。また、学生全員がMacBookProを所持し、音楽制作ソフトを使って自分の手でサウンドを仕上げていくことを学びます。従来からある作曲や演奏の勉強に限らず、より総合的に音に触れる経験を通じて、一人ひとりが「自分の音」にたどり着くことを目指します。
※ 講義科目や学部共通科目も含めた開講科目の詳細については、科目紹介ページをご覧ください。
希望進路に関係なく、まずは全員が「音楽を作る」「音楽を届ける」両方の実習を履修。これまで「好き」「楽しい」という感覚で接してきた音楽に、より深く関わっていくための力を養う。
「作る」実習 全員が自分のPC(MacBook Pro)を所有し、音楽制作ソフト(DAW)の使い方を学ぶ。打ち込み(プログラミング)や録音・編集といった手法により、音の仕組みや曲作りのやり方を理解する。学んだことを活かし、年度末にオリジナル曲を作る。
「届ける」実習 音楽を通じて様々な人と関わっていくために、音楽の特徴をとらえて人に伝えるための耳と言葉を鍛える。また、音楽文化の現状について取材などのリサーチを行い、テーマ性をもったフリーペーパーやウェブサイトを制作して学外に発表する。
希望する進路や関心にもとづいて2つの実習クラスを組み合わせ、将来のイメージを固める。与えられた課題をこなす中で「この力を武器にしていこう」という手応えを得る。
スタジオワーク 演奏者とエンジニアを分担し、レコーディングの一連のプロセスを習得する。
ソングライティング 着想から作詞作曲、アレンジまでトータルに取り組み、「自分の音楽」を見いだす。
作曲技法 音楽理論にもとづく音の扱い方を理解し、綿密に構成された曲を作る。
DTM コンピュータ上での打ち込みや音の加工を中心に、音楽制作のテクニックを学ぶ。
音楽批評 評論や音楽家へのインタビューを通じて、音楽の価値や魅力を世の中に広める。
イベント制作 学外の音楽家や組織と関わりながら、多くの人と音楽を共有するイベントを作り上げる。
各教員が開講する「ゼミ」に所属(複数選択も可能)。専門性の高いプロジェクトを通じて作品や仕事の質を向上させ、社会に向けて問うてみたい音楽や文化のあり方を探究する。
オリジナル音楽の制作 自分らしさを活かした表現を探求しながら、作品制作やライブ演奏に取り組む。
スタジオワーク研究 ジャンルや年代によって異なるサウンドの特徴を再現し、演奏や録音の技術を高める。
作曲技法研究 多様な音楽を分析し手法を学ぶことで、幅広い仕事に対応する「引き出し」を増やす。
インタラクティブ表現 センサーやプログラムを使って、音の表現やパフォーマンスの方法を開拓。
音楽ビジネス 音楽と世の中をどう結びつけるか考え、イベントなどの発信方法を企画し運営する。
音楽文化研究 音楽の意味や文化的背景について考察し、冊子やトークイベントなどのかたちで発信。
入学からの学びによって何ができるようになったのか、そして世の中に対して今何をすべきかを考え、自分が決めたテーマにもとづいて卒業制作(または卒業論文)を完成させる。必要に応じて人の協力を得ながら、作品制作やイベント、論文執筆に取り組む。作詞作曲、演奏、レコーディング、学外への流通や広報など、学生同士で役割分担した共同プロジェクトも可能。
卒業制作のイメージ オリジナルアルバムの制作/新しいリズムの提案をねらいとしたダンスミュージックの制作/映像作品やゲーム作品へのBGM提供/クラスメイトが制作した音楽作品の販売と、その結果の分析/普段経験しないやり方で音楽に触れることのできるワークショップ開催/コンセプトにもとづいて出演者を集めたライブイベント
卒業論文のイメージ インディーズバンドの活動方法の研究/音楽産業の変化に関する歴史研究
現実的には、プロの音楽家になるのはとても大変なことです。音楽産業の構造も変化し、レコードデビューしてヒットを狙うことも今では難しくなっています。しかし一方で、多くの人が変わりなく音楽を求めています。
従来のビジネスモデルが崩れた代わりに、音楽を仕事にするチャンスはむしろ広がりつつあります。映像やゲーム、広告などの分野は付随する音楽を必要としており、実際にそうした音楽の制作を主な仕事にしている音楽家もたくさんいます。音楽を他のものと結びつけていくこと自体が、今後ますます重要な仕事となっていくでしょう。「音楽の分かる人」が多方面に進出していくことは、新たな文化を生む原動力となるはずです。
本コースでは「音楽で食べていく」ことを柔軟に考え、音楽業界への就職はもちろん、一般企業などで音楽に携わる仕事につくことも支援していきます。そのためにインターンシップなど学外での研修だけでなく、実習でもプロジェクト形式を取り入れ、学生同士でアイデアを出しあい協力しながら実行に移す力を徹底的に鍛えます。イベントの企画運営などに真剣に取り組めば、一般的な職種でも通用する能力を身につけられます。
2013年度に開設された京都精華大学ポピュラーカルチャー学部は、音楽とファッションという二つの領域で、既成のジャンルや産業の仕組にとらわれず、それまでにないスタイルや価値観を打ち出せる人間を育てていきたいと考えています。
「音楽が好き」「ファッションがやりたい」という熱意を、社会の現状をとらえ、問題を発見し、今までにない新しい文化を生み出す力へと変換する。その力は音楽やファッションの専門家になることに留まらず、納得のいく生き方や働き方を見つけることにもつながっていくでしょう。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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1 | 英語 | 英語 | 講義(教養) | ||
2 | 講義(教養) | 講義(教養) | スポーツ | ||
3 | 基礎実習
(情報発信) |
基礎実習 (DTM) |
講義(音響工学) | 演習 (ボイトレ) |
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4 | 演習 (セッション) |
演習 (レコーディング) |
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5 |
音楽コース1年次後期時間割例
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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1 | |||||
2 | 講義(教養) | 講義(副専攻) | 講義(副専攻) | 講義(教養) | 画像ソフト演習 |
3 | 制作実習 (パターン) |
制作実習 (ファッションデザイン) |
講義(造形論) | 講義 (アパレル素材論) |
演習 (ファッションビジネス) |
4 | 演習 (プリント) |
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5 |
ファッションコース2年次前期時間割例
ポピュラーカルチャー学部では、午後の授業時間を丸ごと使った実習科目を中心にカリキュラムを構成しています。1年次では経験の有無や希望進路に関係なく、服や音との接し方を基礎から徹底的に養います。自分にとって何が武器になるかを前半の2年間で見極めた上で、3年次からは専門領域に特化した実習を選択します。そして卒業制作では、各教員の指導のもと、自分が実現したいプロジェクトを計画段階から作り上げます。
選択科目として、専門性を補うための演習科目も多数開講されます。自分の目指す方向に合わせて専門性の高い技術を集中的に学べる「領域横断演習」、コンピュータソフトなどのスキルを身につける「メディア制作」、学生自身がさまざまなプロジェクトを実行する「企画演習」などを通じて、実際に身体を動かして学ぶことを重視しています。
もちろん各コースの高度な専門知識や最先端の発想が学べる講義科目も用意されており、他学部開講科目や教養科目、語学科目も履修できます。実習を通じて感覚を研ぎすましていれば、講義を聴いて自分の世界を広げる意義も、より深く実感できるはずです。
※各科目の内容については「科目紹介」をご覧ください。
2014年4月に完成した、ポピュラーカルチャー学部のための校舎。
音楽・ファッション各コースの実習室のほか、音楽コースではレコーディングスタジオと練習室、ファッションコースでは個人の制作スペースに用途別の特殊ミシンを備えています。
約500人を収容できる多目的ホール。7.2chサラウンドのAV環境を備えた、キャンパス最大のイベントスペースです。ライブイベントや講演会、音楽とファッションを融合させたワークショップなど、さまざまな催しを企画することができます。
1. 多目的ホール「agora」
ファッションコースの実習室では、自然光のもとで素材本来の色を見ながら制作できるよう、壁にはガラスが多く使われています。個人の制作スペースは空間を隔てることなく配置され、学年を越えた交流が生まれる設計になっています。
用途別の18種類の特殊ミシンを完備。トルソーは一体ごとに異なる体型のモデルを揃えており、人間の身体は一つとして同じでないことを意識しながら服をつくることができます。
1. ファッションコース制作スペース
2-4. ファッションコース実習室
5. 資料室
音楽コース1年生の実習室および、両コースの教員が揃う総合教員室や個人研究室があるフロア。4年間をともに過ごす教員と交流を深めるためのオープンな空間です。少人数でのワークショップや作品展示を行えるプロジェクトルームも併設されています。
1-3. 音楽コース1年実習室
4-5. プロジェクトルーム
6. 総合教員室
7-14. 各教員研究室
15. 資料室
音楽コース2〜4年生の実習室が並び、授業時間以外もホームルームとして使用できます。大部屋の実習室には防音仕様の可動壁も設置されています。
いつでも演奏や録音を行えるよう、マイクやアンプ、ミキサーなどの機材を完備。また、大型モニタースピーカーを使い、ヘッドフォンや自宅環境では出せない大きくはっきりした音で作品を制作できます。
1-3. 音楽コース2年実習室
4. 音楽コース3年実習室
5. 音楽コース4年実習室
故・佐久間正英(2014年1月まで本学教員)が設計に携わったレコーディング・スタジオは、ドラムの低音をしっかり反響して録音できるようレンガが積まれているなど、楽器ごとの音響特性にあわせた環境になっています。響きの細部に徹底的にこだわることで、音楽制作に必要な耳が鍛えられます。
練習室は機材を完備しており、楽器練習のほかデモ音源の録音も行えます。
1,8-11,15 練習室
2-7 Magi Sound Studio
12 音楽コース機材庫
13-14 演習室
16 資料室